【現役高校教師に聞く!】【多様化する学校のカタチとは?】

今回は【高校学習支援プロジェクト】とのコラボです!
【高校学習支援プロジェクト】とは...?
高校生に対して大学生が一から作成した授業を実施したり、授業のサポートを通して高校生の学びを支援しています。
今回は提携校として普段よりお世話になっている東京都の聖学院高校の日野田昌士先生にお話を伺いました!
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Q.今日「学校で育むべき能力が多様化してきている」と言われていますが、聖学院高校では育むべき能力として何を軸に置いていますか?
聖学院高校では「思考力の育成」に取り組んでいます。
思考力とは「答えを覚える力」ではなく、自分達なりの「答えを生み出す力」だと考えています。
具体的には
①物事を分析し、問題を見つけ、自分なりの答えを見出す力
②「言語⇔イメージ」や「一般化⇔具体化」の双方向のやり取りができる「想像力」
③既成概念や先入観にとらわれずに独創的に考えていく力である「創造力」
の3つとしています。
また、
「学んだ力(=知識の総量)」
「学ぼうとする力(=学習するうえでのモチベーション)」
「学ぶ力(=学習の素養、作法)」
を育成し、その上で「共に生きる力」の育成に挑戦しています。
Q.日野田先生ご自身の授業を通して、生徒にどのような能力を身に着けてほしいと思われていますか?
「学び方を学ぶ」
これが、私が担当している高校2年生の学校設定科目「現代の社会」の授業の目的です。

私が高校生の頃は、教科書の内容を全部覚えるということをしていたのですが、そうして得た知識は学校のテスト以外ではあまり役に立ちませんでした。また、このような勉強方法では勉強や本を読むことでさえもただの暗記になってしまい、次第に「この勉強は意味のあることなのか?」と思うようになりました。
だから私は生徒たちにはそのような学びをしてほしくないと考えています。
しかし14年間、学校の教員をやっている中で、大学受験もとても意味のある制度だと考えるようになりました。そのため、学校では大学受験に対応しつつも、「学び方を学び」、どんな環境におかれても生きていけるようなジェネリックスキルやマインドを生徒が身に着けるという「二兎を追いたい」と考えています。
そしてそのどこでも生きていけるような力の習得をどうやって授業レベルまで落とすか、ということを今は一生懸命考え、取り組んでいます。
Q.日野田先生はROJEを含め、多くの外部団体と協働授業をなさっていますが、その協働授業のねらいはどのようなものですか?
「人が人を変えること」
それが教育であると私は考えています。しかし、私は人を変えるだけのすべての経験値を持ち合わせているわけではありません。例えば、海外旅行に行く時間もないのに海外の話はできないし、コンサルティングの技術があるわけでもないです。それならば、その分野でスキルを持った人達を呼び、私はその人達と打ち合わせをし、どのタイミングで何を狙いとして授業を行ってもらうかなどの授業設計をすることに力を注げばいいと考えています。
教育は教師の独占物ではありません。多くの人々が教室・学校に当たり前に出入りする環境・雰囲気の創生を心がけています。

Q.日野田先生にとって「学校の存在意義」とはどのようなものだと思われますか?
学校は予備校・塾ではありません。そのため私は「学校でしかできないことは何か」を常に意識しています。したがって、自宅で教科書や参考書などを見ていれば自分の力だけで取り組めるようなものを題材にせず、全員が受ける「授業内」で、チームで協力することを促す授業を行っています。
このように、予備校や塾ではできないことを行うところに学校の存在意義があると思います。
Q.これからの「学校のあり方」についてどう思われますか?
そもそも教育とは
強制なのか?しつけなのか?元々持っているものを引き出すものなのか?
その答えは分かりませんが、しつけという面は大切であると考えています。
社会に出たら、周りが自分に合わせてくれるわけではなく、自分が周りに合わせなくてはいけないことが多くあります。また、強制的にこうしろ、と言われてやってみて初めて見えてくる世界もあります。
「自分は人と話すことが苦手なんです」と言う生徒が
「いや、そんなことはない。やってみなさい」と言われ、
やらなくてはいけない状況になり、実際にやってみたら
「あ、意外とできた」と感じる。
そのような経験も必要だと思います。
そうしたしつけとしての教育の側面から見ると、「学校のあり方」としては従来のような
生徒が同じ場所に通い、同じ授業を受けるという形が一番適していると言えます。
しかし、人にはそれぞれ個性があり、従来の形の学校が合わない生徒もいます。
そのため、そのような「従来の形だけ」という単線的な学校のあり方も良くないと考えています。
つまりフリースクールやネット系の高校のような、従来とは異なった学校の形にも存在価値はあると考えています。
これからの学校の在り方は、その学校の生徒に合わせたそれぞれの目的を実現するために、多様なものであっていいのではないでしょうか?
その中で本校では、生徒一人ひとりを「only one」の存在として大切にし、その生徒たちが元来持っている「奥に眠っている力」を引き出し、伸ばしていくことが重要だと考えています。
私たち教師はそのことをお手伝いするものでありたいと願っています。
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いかがでしたか。現役の教師の言葉はみなさんにはどのように響いたでしょうか?
当日のフォーラムでは教育実践家、大学の教授、ジャーナリストなど様々な分野の方のお話が聞けますので是非ご来場ください!!
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